減速して自由に働く – ゆるく生きるを考える③

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当サイトのテーマである「ゆるく生きる」。こだわらず、心地よく、ゆるゆると日々を送ること=ゆるく生きる、だと解釈しておりますが、同企画では、「ゆるく生きる」を真面目に深く考えていこうと思います。

今回は「働き方」「仕事」がテーマ。生きるためにはお金が必要であり、日本国憲法で労働の義務があるように、人生と仕事は切っても切れない関係にあります。

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「働かない」が究極の選択か

「ゆるく生きる」と「仕事」は相反する印象があります。働かないのが究極のゆるい生き方かもしれません。しかし、それは非現実的です。最低限のお金がなければ心地よい生活は成り立ちませんし、もし経済的に可能であっても社会参加しないことによる弊害が生じます。

そもそも経済的に働かないことを可能にするのは不労所得。印税や不動産経営などが具体的に当てはまりますが、決して楽な方法ではありません。かなりの知識と労力が必要だと感じます。

副業として取り入れるなど、勉強しながら少しずつ不労所得を目指す意識には賛成します。すべてを投げ出してまで目指すのはハイリスクといえるでしょう。

今回の記事では、不労所得による生き方は一握りの人々による特殊なケースと考え、あくまで労働による収入を得ながらゆるく生きる方法を探っていきます。つまり、「ゆるい働き方」を考えます。

高坂勝著「減速して自由に生きる ダウンシフターズ」を読んだ

高坂勝氏は、池袋のバー「たまにはTSUKIでも眺めましょ」のオーナー。元緑の党Greens Japanの共同代表でもあり、同書では「ダウンシフト」という生き方を提唱しています。

ダウンシフトとは、”経済成長至上主義から降りることで人間が本来有している幸せと安心の価値に戻り、足るを知る営みになり、分かち合う充足を得る、懐かしいようで斬新な具体的手段”のこと。大量消費社会のアンチテーゼといえます。

同書の前半部分は著者である高坂勝氏の自伝が綴られています。サラリーマンとして出世を目指すものの、心労で30歳に脱サラし、さまざまな経験をした後、34歳でオーガニックバーをオープンするまで、細かに書かれています。ダウンシフターの代表例として大いに参考になることででしょう。

ミニマム主義がゆるく働くヒントに

特に印象に残ったのが「ミニマム主義」について紹介していた箇所。石川県で農家を営む「源さん」という人物の言葉がもとで、高坂氏も深く感銘を受けたといいます。

同書では、源さんの「ミニマム主義で行こう」というブログからの言葉がいくつか引用されていました。

ミニマム主義では、「幸せに暮らすためにどのくらいの収入が必要か考えること」「幸せの原点は比べないことであり、お金はあればあるだけいいといったキリのない欲望には付き合わないこと」などが述べられています。

これらは「”減速して自由に生きる”ためにどう働くべきか」という疑問へのヒントになっています。

会社で昇進、昇給をモチベーションに心身をすり減らして頑張るより、自分にとっての幸せが何かをまず考える。その上でお金や仕事と向きあうわけです。

もし家族とゆっくり過ごすことが優先すべき幸せであれば、収入より時間が大事。あまりにも労働時間が長い場合、必要な生活費は確保しつつバランスを見直すべきです。

豪邸に住み、高級外車を乗り回すことが幸せであれば、今以上の収入が必要になるかもしれません。ただ、本当に豪邸や高級外車が必要でしょうか。「幸せの原点は比べないこと」だとミニマム主義はいいます。”見栄”にはお金を掛けるべきではないということです。

“能動的”にゆるく働く

同書が出版されたのは2010年。(僕が読んだ文庫版は2014年)シェアエコノミーやミニマリストといった考え方の先駆けかもしれません。

今年(2017年)に入り、電子書籍も発売されました。「減速して自由に生きる」という本は、”能動的”なゆるい働き方を発信していると見受けます。

著者の高坂氏自身がダウンシフターの代表であり、「ゆるく行こうぜ」と身をもって減速するメリットを提案しています。低成長時代の今、上を目指すよりもダウンシフトしようという考えが多くの人に受け入れられるのは納得です。

高坂氏のような脱サラという選択肢をとり、やりたいことで収入を得たり、少ない時間で最低限の収入を得ながらプライベートを楽しむという生き方は憧れます。

“受動的”にゆるく働く

ただ現実には、脱サラのハードルは高いと思います。本当にやりたいことがわからなかったり、独立する自信がないなど、ある程度不満を抱きつつも、稼ぐのには結局サラリーマンがいいという結論になってしまいがちです。

それは正しいと思います。思い切った選択をしなくても、選択肢を知っているだけで「仕事がすべてじゃない」と楽になります。現状を受け入れ、与えられた仕事を最低限こなす。それで一定の賃金を得る”受動的”なゆるい働き方もあります。

ただ、会社に属して働く際には、社員よりも会社の総意が優先されます。当人が「収入が減ってもいいから休みを多くしたい」
と思ったところで、簡単に受け入れてはくれません。

会社への忠誠を誓い個人の希望を少なからず犠牲にするのが正社員といえるでしょう。そして、大きい会社であればそうであるほど、会社は社員同士を競争させ、出世のために努力することを強制します。

そんな中、「自分は出世しなくていいから休みたい」と努力を怠ると、どうしても居心地が悪いです。周りの評価を気にしない図太い神経をもつことも対抗策のひとつだと思います。

“受動的”なゆるい働き方では、労働を「生きるための金銭を得る手段」と割り切る考え方が必要です。

“受動的”から”能動的”へ

もし、会社での労働時間が希望よりも長く、改善の余地がないのであれば、環境を変えるのもアリです。給料は安くとも労働時間が短かったり、在宅ワークといった労働の時短に理解を示す会社に転職するのもいいでしょう。

「本当にやりたいこと」と向き合い、仕事内容を重視した転職や、フリーランスとしての活動という道に進むケースもあるかもしれません。こうなってくると、”受動的”ではなく上述した”能動的”な働き方を実践することになります。

仕事に対して“能動的”なのは理想であり、”受動的”な働き方は単なる場つなぎ的な現実主義の考え方です。割り切って働いていても、いつかは理想を求める必要性にぶつかると思います。

でも忘れてはいけないのは、基本的に仕事とは面倒なものです。仕事自体は決して”ゆるく”ないです。人のめんどくさがることをやり、対価の報酬をもらう。どんなに生産的な仕事であっても、事務的で面倒な部分はあると思います。

そういう意味では、仕事に理想を求め続けるのもいいですが、現実を視て妥協することも必要です。一時はそれが理想だと思っても、いざ一定期間やってみると飽きることもあります。いわゆる青い鳥症候群ってやつです。

その点を理解した上であれば、”能動的”にゆるく生きる、減速して自由に生きる、ダウンシフトしていくのは大いに価値があります。

また、以前Third.jpで就活中の新卒者向けに書いた記事から引用すると、やりたいことを考慮した「意志反映型」と、収入や労働時間を考慮した「環境反映型」の意識のバランスを考えることで、自ずと理想と現実を照らし合わせることができるでしょう。

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優先順位を見直す

ゆるく働くために重要なのは、「働くために働いているのではない」という意識です。

経済成長を求め、個人の成長を強制する環境から逃れ、ストレスフリーに働く。「地位」「名誉」「高収入」といった価値の人生における優先順位を低くし、「精神衛生」「余暇の時間」といった価値の優先順位を高める。そうすると、仕事に求めることが違ってきます。

もちろん何かしら犠牲はあります。価値観の違う人々からの評価は下がるでしょう。ただ、この働き方は足し算思考ではなく引いていくことで成り立つものです。

ミニマム主義に基づき、優先順位を定め最低限の収入を設定する。最適な仕事内容や労働時間を考え実践する。やることはいたってシンプルです。また、コストパフォーマンスを重視しているため、とても効率的です。

まずは、あくせく働くのを一時休止し、自己と対話すること。そして、優先順位を見直してみてはいかがでしょう。

●「ゆるく生きるを考える」前回の記事

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Minoru Sato
ゆるく生きたい20代男。編プロからライター活動を開始し、旅やITなど幅広い分野で執筆中。
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