Netflixドラマ「火花」を見終えて


人気のVODサービス「Netflix」で6月より配信されているドラマ「火花」を最近見ました。火花といえば、ピースの又吉直樹さんが芥川賞を受賞して話題になった小説作品です。映像化する際、Netflixが権利を勝ち取り、ネット配信という形で提供されることでも話題になりました。

Netflixオリジナルドラマ「火花」は、全10話で1本1時間程度。なかなかボリュームある仕上がりです。

筆者は原作も読んでますが、だいぶ前に読み終えたので内容はうる覚え。思い出しつつ比較もしながら、感じたことを書いていきます。どんな作品にもいえますが、映像になったことで作品がまた違った形で味わえました。もちろん根幹は変わらないのですが。

全体的な印象としては、おしゃれなサブカル青春映画。間をうまく使った演出や英詞の挿入歌が雰囲気を作り上げています。主人公の徳永を演じた林遣都、徳永の師匠・神谷を演じた波岡一喜、徳永の相方・山下を演じた好井まさお(井上好井というコンビを組む本物の芸人!)といった主演陣も熱演でした。

徳永の演技が、原作者の又吉さんを彷彿させるのもまた良し。穏やかな関西弁が素敵でした。火花の内容を簡単に説明すれば、師匠と弟子の物語です。熱海のお笑いステージで2人は出会い、師弟関係を結びます。徳永は神谷の笑いへの真摯な姿勢に共感し、お笑いコンビ「スパークス」として相方の山下とともに芸人としての成功を目指します。

物語では、「真の笑い」と「大衆に受け入れられる笑い」の二項対立がたびたび描かれます。徳永は前者を追求しながらも、それだけでは芸人として成功できないという壁に当たります。その中で、相方や所属事務所とともに テレビ出演を果たすなど着実に結果を出します。一方、神谷の結成するコンビ「あほんだら」は鳴かず飛ばず。世間的にみれば、弟子の方が師匠よりも評価されるようになり、2人の関係も変わっていきます。

ここからネタバレ注意。

個人的に最も感動したのは、スパークスが解散する回。コンビ間の友情やラストライブの描き方が秀逸でした。その分、その後のクライマックスが薄れていたような。まあでも、原作でも衝撃だった「神谷がFカップになる」くだりのインパクトは流石。映像化されたFカップのおっさんは、文章以上に破壊力抜群でした。

他に印象的だったのは、「徳永が模倣をしだす神谷に失望する」シーン。同作品に象徴的な“間”がうまく使われていました。また、井の頭公園やハーモニカ横町をはじめ、吉祥寺が2人のホームグラウンドとして頻繁にでてきていたり、序盤には吉祥寺〜荻窪あたりの夜の静けさを映すシーンがありますが、中央線沿線の雰囲気が似合う作品でした。

原作は「神谷と徳永の物語」として師匠と弟子の世界が深く描かれていた印象でした。映像化されたことによって、主人公をとりまく世界が広がりをもち、ポップな青春映画色が強くなった気がします。相方、所属事務所との関係も詳しく描かれているほか、弟子としての徳永だけでなく、後輩に慕われる先輩としての徳永も描かれていました。

ライバル芸人も登場し、芸人の世界を疑似体験した気にもなれます。徳永の元バイト先の女性が序盤から友人として登場しますが、特に恋人関係になることもなく終わる、というのもリアリティがあって良かったです。

小説から映像になったことで、作品に“賑わい”が生まれた感じがします。一方、原作を再現した細やかな描写も多く、いくつかの人間関係の中で主人公が着実に成長していく様子が分かります。原作を読んだ人も、読んでいない人も楽しめることでしょう。ネット配信なので、いつでもどこでも(ネット環境さえあれば)観られる点もいいですね。

Minoru Sato
ゆるく生きたい20代男。編プロからライター活動を開始し、旅やITなど幅広い分野で執筆中。
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