【コラム】書籍のあり方。他メディアとの比較を通して

昨今、出版不況といわれ、書籍が売れなくなってるといいます。今回は、書籍の特質を示したうえで、書籍のあるべき姿を述べたいと思います。

まず、書籍を含めたさまざまなメディアを比較してみます。比較にあたっては、2つの尺度を用いたいと思います。1つ目は、後世を意識したアーカイブ的な性質「時間性」。2つ目は、広い範囲に伝わる速報的な性質「空間性」。そうすると、書籍、雑誌、新聞、ラジオ・テレビ、電子メディアの順に時間性が高く、時間性が低いメディアほど空間性が高いといえます。

記録するための紙媒体である書籍の特性は、時間性(保存性)の高さです。「知の集合物」として後世に残ることを意図しているため、物神化されやすい特徴をもちます。しかし、近年は、書籍も空間性を高める傾向にあります。

これは、ハードカバーで売れた本が文庫本として出されること(軽装化)を考えるとわかりやすいです。ロングセラーよりベストセラーを志向し、消費物としての書籍が現代では多く流通しています。出版流通の世界では、委託販売制度により、書籍のサイクルはとても早いです。

書籍の特質を生かしている場所は、図書館だといえます。古い図書資料が数多く集積されている点が象徴しています。保存性という強みを生かすことは、インターネットに脅かされている現状の打破につながりそうです。

つまり、書店で消費されるものより、図書館において時代をこえて読まれる書籍こそ、書籍らしいといいたいです。物神化という言葉で前述したように、本と読者の間には距離感があり、双方向性の強い電子メディアとは対照的です。インターネットの情報は信頼性が低いといわれる所以は、ここにあるのでしょう。

書籍は読者に媚びることのない威厳のあるメディアとして君臨することで、他メディアと差別化が図れ、自ずと息の長いメディアになるのではないでしょうか。

Minoru Sato
ゆるく生きたい20代男。編プロからライター活動を開始し、旅やITなど幅広い分野で執筆中。
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